スーパーで見つけた懐かしい一品。
普段の生活ではもう十年以上は確実に使っていませんが、子供の頃、家にハエ叩きがあったことは覚えています。
今はハエが家に入って来てブンブン飛んでるということ自体がほとんどないので、ハエ叩きが無くても生活には困りません。
ハエが入って来るとしてもものすごく時々なので、新聞紙を丸めてぶっ叩くか、上手く追い出す、などで対応出来ます。
なのですが、スーパーで買い物をしていたら、可愛いハエ叩きを見つけたので、鼻息荒くレジに向かいました。
ハエ叩き ポンポイ
ポリプロピレン製のハエ叩き「ポンポイ」です。名前が可愛い。
メーカーは株式会社服部樹脂さん、全長は約50cm、価格は100円(税抜)でした。安い。
色はピンク・イエロー・グリーンの3色展開でした。
縦にしました。
グリップ部分を持ち、ハエに向かってフルスイングをするのが基本的な使い方でしょうかね?
ポンポイの構造
プラスチック製のハエ叩きには、
・編み目
・上部がギザギザ
・ピンセット付き
といった特徴があります。
編み目
ハエ (ご家庭によってはG) をぶっ叩く部分は編み目状になっています。
蠅叩きを振り下ろした際の風圧で小さな虫を吹き飛ばしてしまわないように網目状になっている。
*蠅叩き - Wikipedia
ちゃんと理にかなった構造になっています。
上部がギザギザ
上部がギザギザになっているのは、私はホウキとしての役割なのかな?と思いました。叩いたハエを掃き出すのに使うのかなーと。
Yahoo!知恵袋では、「風切り音を小さくするためではないか?」と回答している方がいました。
風切り音が小さくなれば、ハエに気付かれにくくになる…のでしょうか?
また、ハエ叩きを打ち付けた時に「先端のスピードが増す」という回答もありました。
え、そこまで考えられて設計されてるんですかね!? ハエを叩き潰すことに全力です。
ピンセット付き
このハエ叩きには、召されたハエをつまむ為のピンセットが収納されています。
さあ、どこでしょう?
・
・
・
答え
ここです。
端っこを引っ張ります。
出てきました。こんなところにピンセット。
最初ピンセットがセットされていることに気が付かなくて撮影していなかったので、スマホで撮影し直しました。
商品名の「ポンポイ」は、「ポン」と叩いて「ポイ」と捨てるということだと考えられますし、
よく見ると商品に貼ってあるシールの「イ」の部分にピンセットのイラストが描かれています。
気が付きませんでした。
キリンのプラスチックパーツがくっついています。ただの飾りなのか、何か意味のあることなのでしょうかね?
ちなみに色によってついている動物の種類も違っていたようでした。
この商品の買えるところ
実店舗
近所のスーパーの日用品コーナーで見つけました。
10年以上前に更新されているブログでは、100円ショップで買ったと書かれていました。
もしかしたら、どこかの100円ショップで販売されているかもしれません。
メーカーである服部樹脂さんのWebサイトを見ても、ポンポイは特に掲載されておらす、Googleで検索してもほぼヒットしなかったので、現在も生産されている商品なのかどうかが分かりません。
インターネット
主要ショッピングサイトでは、ポンポイは見つけられませんでした。
ハエ叩きと検索すると商品はヒットしますので、未だに販売されている商品のようです。
楽天で見つけたこちらのハエ叩きは形が可愛いですね。価格は税込400円です。ただ色が選べないのが難点ですね。
アジアン雑貨の笑福Lotusさんというお店で、ベトナムの可愛いハエ叩きが販売されていました。
税込800円とちょっとお高めですが、チューリップ型でとっても可愛いです。
人類 vs ハエ
現在は衛生環境が良いので、ハエを見かけることが少ないと思います。しかし人類とハエの戦いには長い歴史があり、色々な道具が誕生しました。
直接ハエをぶっ叩く、ハエ叩きもその一つです。
様々な道具
粘着性のある薬品を塗った紙でハエをくっつけるハエ取り紙は、明治時代に輸入されました。
昭和初期には天井からぶら下げるタイプの商品も作られました。
ハエが入ると出られなくなるガラス製のハエ取り器、細長いラッパのようなタイプのハエ取り器 (ハエ取り棒とも) もありました。
*はえとりの道具|岡崎むかし館
ガラス製のハエ取り器は、昭和初期に登場したそうです。
*ハエ取り器をならみんぱくに見学 – 奈良の宿大正楼
台所などでは、食べ物やお皿にハエがつかないように、蠅帳(はいちょう)という、金網のついた家具がありました。
折り畳み式の蠅帳も登場し、食卓で使われていました。これは現在も販売されていますね。
ハエ叩きの歴史
Yahoo!知恵袋に「ハエたたきってどこの誰が最初につくったのですか?」という質問がありました。
● 回答
蠅叩きって、もっとも古い形状のものはお坊さんの持ってる払子という馬のしっぽのような仏具で、古代インドにはすでにあったそうなんで、自然発生的に世界各地で作られたようです。
日本では江戸時代ころにシュロをほうきのような形に編んだ蠅叩きがあったそうです。現在の形状の蠅叩きで、もっとも古い正式な記録は1900年に米国イリノイ州でロバート・モンゴメリが特許を出願したものです。
*ハエたたきってどこの誰が最初につくったのですか? - 探してもこれとい... - Yahoo!知恵袋
ハエは病原菌を媒介する存在でもありますし、結構な昔からハエとの戦いは始まっているんですね。
千葉県立中央博物館 大利根分館「Web版むかしの道具展」に、シュロ製のハエ叩きが掲載されていました。
シュロの木の葉を編んで作った蝿捕りの道具。シュロは重宝な植物として、家の庭によく植えられていた。シュロ皮の繊維は、シュロ縄・シュロ箒・たわしなどに用いられ、水郷地域では川の水を利用する際の濾過材としても使われた。
*78.はえたたき【蠅叩き】|Web版むかしの道具展
昭和のハエ叩きは金網で作られているものもあり、材質はシュロ・金属・プラスチックと時代によって変わっていきました。
ただ、具体的に何年代ということろまでは調べきれていません。
この記事もタイトルを「昭和っぽい生活雑貨」としたのは、ハエ叩きの材質がプラスチックになった年代がはっきりと分からなかったからです。
昭和の生活雑貨と言ってしまうと、昭和にはプラスチックだったと断言してしまうことになりますので、保険をかけたということです。
ハエが減ったのはなぜ?
ハエが減ったのは「公衆衛生の向上」です。このきっかけとなったのは、1964年(昭和39年)の東京オリンピックでした。
*今昔写真から振り返る「あの日の渋谷」vol.5 テーマ:「オリンピック国民運動」
こちらの記事には、東京オリンピック以前の東京の街について書かれています。
1964年の東京五輪の以前、東京はものすごく汚くて臭い街だったと言われている。終戦から20年余り、国民のほとんどが生きるのに精一杯で、公衆道徳を考える余裕すらない時代。家庭ごみは路上に放置されて臭気を放ち、そこら中に痰(たん)や唾を吐き捨て、人目をはばからず大人が平気で立ち小便をする姿も日常的な風景だった。
うわ…汚い…。
ただ、これでは「もはや戦後ではない」と高らかに宣言し、「アジア初の五輪開催で国際社会の仲間入りを果たそう!」という国としては、あまりにも恥ずかしすぎる。そこで五輪開催地である東京都では1962年から毎月10日を「首都美化デー」と定め、町内の清掃や緑化など「首都美化運動」をスタートさせる。「ゴミ容器」として現在当たり前に使われているポリバケツも、この美化運動の波に乗って普及した商品の一つ。
東京オリンピックという国際的なイベントを前に、衛生環境を良くしようという運動が起こり、日本人の公衆道徳は向上していきました。
『まだある。今でも買える"懐かしの昭和"カタログ~生活雑貨編 改訂版~』にも、
社会問題になったほどの大量のハエは、東京オリンピック以降、急速に数を減らしていく。そのためなのか、我々世代にとって「ハエたたき」は、すでに「マンガでしか目にしないモノ」のひとつだったと思う。
と書かれています。
東京オリンピックから50年以上の年月をかけて、現在の衛生環境が作られていったのですね。
おわりのつぶやき
「わー、ハエ叩きレトロで可愛い」なんて言っていられるのが、どれだけ幸せなことなのかがよく分かりました。
もしハエがそれなりに家の中をブンブンと飛んでいる時代に生きていたら、私のハエ叩きはきっとあちこち黒いシミがついていると思います。
● 参考
『まだある。今でも買える"懐かしの昭和"カタログ~生活雑貨編 改訂版~』初見健一 著 2013年5月30日 改訂第二版一刷 大空文庫
商品情報
商品名:ポンポイ
カラー:ピンク
メーカー:株式会社服部樹脂
価格(税抜):100円
JANコード:4990943052012
原産国:日本