日本初の油性マーキングペンであり、油性ペンの代名詞。
名前を書く時に使う油性ペンのことをなんと言っていますか?
私は「マジック」と言っています。でもマジックは商品名なので、ある用途に使われる道具を指している言葉ではありません。
マジックは「マジックインキ」の略であり、油性ペン=マジックと一般名称化した商品です。
油性ペンをマジックと呼ぶのはマジックインキのせいですよ。褒め言葉ですよ!ロングセラー商品じゃないとこうはなりません。
マジックインキ 大型
● 価格:120円(税抜)
● サイズ:縦 8.4cm・横 2.6cm
ぷくっとした「?」マークが可愛いマジックインキ(以下、マジック)。正確には「マジックインキ 大型」という商品名だそうです。
あるのが当たり前すぎて発売日も気にしていませんでしたが、1953年(昭和28年) 4月発売のロングセラー商品です。
終戦から10年以内に発売されているのも驚きです。
本体価格は120円ですが、ダイソーで購入したので100円でした。
カタカナ表記というか、日本語表記側。
寺西化学工業さんのWebサイトを見て思ったのですが、こちら側が表のようです。
子供の頃から売っている商品だからか、マジックのインクの香りを嗅ぐとなんとも懐かしい気持ちになります。
マジックの特長
マジックと言えば、お家・学校・会社などなど様々な場所で使われています。線幅8mmと太くしっかりとした文字が書けます。
紙・布・革・ダンボール・木材・金属・陶器・ガラス・プラスチックといったあらゆるものに書くことが出来て、速乾性と耐水性に優れています。
ちょっとつるつるとしたティッシュの箱に線を引いてみます。引いた直後に触ると手にインクが付きますが、約10秒待つともう大丈夫ですね。
インクの色は15色あります。8色セット・12色セット・15色セットが販売されています。
これロングセラー商品あるあると言いますか、ある商品がものすごく普及すると、メーカーさんが想定もしてないような使い方をする人が現れますね。
札幌雪祭りの雪像作りに自衛隊の隊員の方がマジックインキを使って氷の上に線を引いているのにはびっくりしました。
*誕生物語|寺西化学工業株式会社
マジックは氷の上にも書けるらしいです(笑)
また、補充用のインクと替芯が売っていることもマジックの特長です。
マジックはインクがなくなったらインクを足し、何度も使えるようになっています。発売当初からの仕様だそうです。
マジックの誕生
寺西化学工業株式会社さんは、大阪市旭区に本社を置くメーカーさんです。
1916年(大正5年)に初代社長の寺西長一氏が寺西化学工業所を創業しました。当時は筆記用のインキ。クレヨンを製造していたそうです。
創業100年を超える歴史のあるメーカーさんです。
寺西化学工業さんがマジックの開発を始めたのは1951年(昭和26年)です。まだ物資の調達も十分に出来ない時代です。その中でも開発を進め、1953年(昭和28年) 4月に発売しました。
現在でも販売されている8色セットの箱は発売当初のものとほとんど同じです。
日本初の油性ペン
マジックインキは『まだある。今でも買える"懐かしの昭和"カタログ~文具・学校編 改訂版~』にも紹介されています。
今では油性ペンの代名詞になった「マジック」という呼称、これはこの商品が発売当初、いかに画期的なモノだったかを表した言葉だ。どんなものにも書くことができ、すぐにインクが乾いて水に濡れても消えない。今の感覚では「油性なんだから当然」だが、「筆記具=紙にしか書けない」という水性インク時代に初めて登場した油性「マジック」は、まさに「魔法のインク!」だったのだ。
油性ペンの存在を知らずに初めて使ったら「なんじゃこりゃー!」と言ったかもしれませんね。
ちなみに私達が当たり前に行っている筆記具についてのある行動は、マジックが作り出したものです。
それはなんでしょう?
答えは「使い終わったらキャップを閉めること」です。
当たり前すぎて気にもとめなかった行動ですが、マジック以前は万年筆・毛筆という水性の筆記具しかなかったので、「キャップを閉める」習慣がなかったそうです。
ですのでキャップを閉め忘れて「すぐに書けなくなった」というクレームも多かったそうです。
クレーマーじゃないですか!?と言いたいところですが、日本初の商品ならではのご苦労ですね。
マジックは発売当初はなかなか売れなかったりと様々な苦労があったそうです。
油性ペンの代名詞的存在になるまでの物語は下記ページに詳しく書かれていますので、興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
いつかのパッケージ
祖母の家で見つけたいつかのマジックインキです。パッケージもほとんど変わってないようですね。
いつぐらいに購入したものなのかは不明です。
反対側。
あらゆるものが「汎ゆるもの」という表記になっています。
最初なんて読むの?と思いました。
キャップの形状が違いますね。
ラベルの上部の文言も異なっています。「どんなものにも書ける魔法のインキ」の字体がなんとも味わい深いです。
この商品の買えるところ
実店舗
文房具屋さんなど。有名な商品ですので、探すのは楽だと思います。
インターネット
Amazon・楽天・Yahoo!ショッピング・Wowma等で購入可能です。
おわりのつぶやき
ついついマジックと読んで使っている油性ペン、よく見ると「マッキー」と書いてあったりします。
油性ペンのことを無意識にマジックと呼んでしまっています。
他に商品名が一般名称化した商品と言えば、サインペンやママレモンもありますね。
それでは、ごきげんよう。
商品情報
商品名:マジックインキ 大型
品番:ML-T2
カラー:赤
メーカー:寺西化学工業株式会社
価格(税抜):120円
JANコード:4902071500822
原産国:日本
● 参考
『まだある。今でも買える"懐かしの昭和"カタログ~文具・学校編 改訂版~』初見健一 著 2013年7月26日 改訂第二版一刷 大空文庫