小学校でだれもが使う鉛筆は、かつてはナイフで自分で削っていました。
現在ではハンドルのついた手動で削るタイプや、穴につっこむだけで綺麗に削ってくれる電動タイプなど、便利な文房具が当たり前にあります。
それらがまだ各家庭にあるのが当たり前でなかった時代は、子供たちはナイフを使って自分で鉛筆削りをしていました。
折りたたみ式の小型ナイフ ミッキーナイフ
鉛筆削りに使われていた小型のナイフに、ミッキーナイフという商品がありました。
ありましたと言っても現在も製造されていますので、正確には「あります」です。
サイズは折りたたんだ状態で横6.9cm・縦2.3cm・厚さ0.6cmと小さくて、ペンケースに入れていても邪魔にはなりません。
発売開始は1960年頃で、メーカーは株式会社坪米製作所さんです。
かつては鞘の部分に色がついているタイプもあり、5色くらいあったそうですが、現在ではシルバー1色です。
--- ミッキーナイフと画像検索をすると画像が見られますよ。
刃を出したところ。歯は薄いですが、切れ味は尖そうです。
このミッキーナイフ、まだ製造しているというロングセラーっぷりも凄いのですが、あとすごいのが価格です。
希望小売価格100円です。信じられない。
高い実用性というは言うまでもないのですが、このレトロなデザインがいいですよね。
鞘のプラスチックの模様もグッときます。
東の「ボン」、西の「ミッキー」
実際にナイフで鉛筆を削っていた世代の方ですと、もしかしたら「ミッキーナイフは知らないけどボンナイフなら使ってた」という方もいるかもしれません。
『まだある。今でも買える❝懐かしの昭和❞カタログ~文具・学校編 改訂版~』によりますと、
この種のナイフは「東の『ボン』、西の『ミッキー』」ということになっているらしく、ほぼ同時期に東京では「ボンナイフ」、大阪ではこの「ミッキーナイフ」が流通していた。
ということらしいです。
また、
かつては街の文具店、駄菓子屋さんの定番商品だった。鉛筆削りという実用目的で買う子は少なく、男の子がそっとポケットにしのばせる「お守り」のようなものだったと思う
と書かれています。
なるほどなるほど。そういう役割もあったのですね。
ミッキーナイフがまだあるのは社長の意地
『まだある。今でも買える❝懐かしの昭和❞カタログ~文具・学校編 改訂版~』の著者、初見健一さんは、ミッキーナイフを製造している坪米製作所の社長さんの話にインタビューをされたそうです。
社長さんにお話をうかがったところ、「ミッキーナイフ」の製造をつづけるのは、今ではかなりむずかしくなっているらしい。サヤの部分にキラキラした金属板が入っているが、これを加工する職人さんが少なくなってしまったのだとか。かつては金属板に色をつけたモデルもあったが、現在はシルバーのみ。「わりに合わない仕事」だが、半世紀を超えるロングセラー商品なので「意地でつくってるんだ」とのこと。
社長さん、カッコいいです。
坪米製作所さんが意地でミッキーナイフを作ってくれているおかげで、私はミッキーナイフを現行価格で買うことが出来たので感謝しないといけません。
もし廃番になってたらおそらく倍以上の値段になりますもん。
鉛筆をナイフで削るということ
かっては小学校1年生だってミッキーナイフやボンナイフなどで鉛筆を削っていたのだと思います。
現在では6歳や7歳の子達にナイフを持たせるのは危険だと言われそうですが、このナイフで刃物の使い方を覚えたという面もあるでしょうね。
大きな怪我をする前に、ミッキーナイフで手を切ってみるというのはそれはそれで大切な教育だったのかもしれません。
まぁ絶対違った使い方をしたガキンチョもいそうですけどね。
ナイフと鉛筆削りのことを調べていたら、現在でもナイフで鉛筆削りを指導している学校があるそうです。
*小学1年生がナイフを使って「鉛筆削り大会」 | キッズ・ハンド・クラブ | 学研キッズネット
ミッキーナイフのことは出て来ませんけれど、とても興味深い内容でした。
ミッキーナイフ、使ってみた
せっかくなので、ミッキーナイフで鉛筆を削ってみました。
ビフォー!
アフター!
なんかもう、鉛筆に申し訳ないくらい下手くそでした。
見よう見まねでやってみたもので、鉛筆を持っている手がつりそうでした。一箇所とんでもなく深爪みたいになっていますし。
意外と難しいですよ。これを小学校に入ったくらいから練習するのは、手先の器用さも養える気がします。
ミッキーナイフが買えるところ
実店舗
山田文具店 (東京都三鷹市) さんで購入しました。
他の文具店は分かりませんが、レトロな商品を扱っている文具店なら置いてあるかもしれません。
インターネット
*ミッキーナイフ/鉛筆削り用ナイフ(えんぴつ削り)のインターネット通販 | 山田文具店
2018年9月27日現在、楽天市場・Yahoo!ショッピングなどでも購入出来ます。
おわりのつぶやき
実際にナイフで鉛筆削りをしていた最後の世代がはっきりしないのですが、60代の母はナイフで削ってた世代だそうです。
家に鉛筆削りはあっても、親御さんの教育方針でナイフで削るようにしていた家庭もあったそうですよ。
そういえば、小学生は鉛筆で中学生になるとシャーペンが解禁されるのは今も一緒なのですかね。
参考図書
『まだある。今でも買える❝懐かしの昭和❞カタログ~文具・学校編 改訂版~』
初見健一 著 2013年7月26日 改訂第二版一刷 大空文庫