2019年5月1日、令和を迎える日には、この商品を記事にしようと決めていました。
資生堂さんの化粧水「オイデルミン」は、明治30年に発売され、140年以上愛されているロングセラーコスメです。
本日5月1日0時に令和になったので、明治・大正・昭和・平成・令和と5つの元号で販売されていることになります。
--- まだ令和に成り立てだけど。
資生堂 オイデルミン
オイデルミンはまるで香水のような見た目をしていますが、化粧水です。
筆記体のEudermineがエレガントなラベルと、透き通ったピンクにも見える赤の水がうっとりしてしまうくらい素敵です。
それなのに500円(税抜)というとんでもないプチプラコスメです。
お店によっては400円代でも購入出来ますし、使うようと飾っておく用の2本買いたくなるくらいお安いですね。
--- 実際2本買いました。
裏のラベルには、オイデルミン(N)記載されています。こちらが正式な商品名のようですね。
容量は200ml、瓶の高さは13.5cmで角ばった形をしています。エンジのキャップは八角形になっているので開閉しやすく、中央に花椿のマークが入っています。
成分は省略しますが、オイデルミンは拭き取り用の化粧水でさっぱりとした使い心地です。
オイデルミンの買えるところ
実店舗
全国のドラックストア等で購入可能です。スーパー等のお化粧品売場でも買えます。
有名な商品なのですぐ出会えると思います。
インターネット
Amazon・楽天・Yahoo!ショッピング・Wowma等で購入可能です。
オイデルミンについて調べたこと
ここからはお勉強タイムと言いますか、オイデルミンについて調べたことの備忘録です。
資生堂さんの始まりは1872年(明治5年)、福原有信さんが銀座に国内初の洋風調剤薬局を創業したことに始まります。
資生堂さんといえば化粧品というイメージですが、創業当時は違っていたようです。
1897年(明治30年)に誕生したオイデルミンは、資生堂さんが化粧品事業に進出し、最初に発表した3つ商品の商品の一つです。
商品名はギリシャ語の「良い(eu オイ)」と「皮膚(derma デルマ)」を組み合わせた造語。これは日本の近代薬学の開祖といわれる長井長義氏の発案で、1897年、化粧品として欧文のみのネーミングは異色だったようです。当時最新の科学技術に基づく処方と、現代のボトルデザインへとつながる芸術性で、たくさんの人々を魅了しました。一貫しているのが品質主義。化粧品を科学的な視線で捉えるという、資生堂独自の考え方が示されています。
*『日本のレトロコスメ』より
『日本のレトロコスメ』の出版元であるグラフィック社さんのTwitterの投稿、2枚目の画像に歴代のオイデルミンの写真が掲載されています。
【本日のおすすめ既刊本】
— グラフィック社 編集部 (@Gsha_design) 2018年11月12日
『日本のレトロコスメ』
美顔水、オイデルミン、ロゼット洗顔パスタ、 PJラピス、化粧惑星…。
明治から現代まで、
日本のコスメ100年の歴史をパッケージや広告資料で振り返る一冊です。https://t.co/eimsJ7kryQ pic.twitter.com/tq78k8qDRM
オイデルミン発売当初の瓶は複製品だそうです。現行のデザインになったのは1980年(昭和55年)頃です。
発売当時のオイデルミン
『日本のレトロコスメ』に掲載されているのと同じものが、資生堂さんのInstagramにも投稿されていました。
View this post on Instagram
瓶の形も美しいですし、丸い栓とリボンが可愛いですね。商品と言うよりもう作品ですよ。
約140年後の人間が見てもものすごく洗練されていると思いますので、当時の女性たちはさぞ驚いたことでしょう。
ラベルはほとんど現行のオイデルミンと一緒ですね。このラベルがものすごく素敵。
--- オイデルミンの復刻版が海外で販売されたようです。日本でも売って欲しい。
資生堂企業資料館のWebサイトに解説が掲載されていました。
日本初の洋風調剤薬局として資生堂を創業した福原有信が、初めてつくった化粧品。当時最先端の西洋薬学技術で処方されており、ギリシャ語で「良い肌」を意味する商品名も斬新であった。赤ワインを思わせる化粧水の色味から、「資生堂の赤い水」と親しまれた。華奢なガラス瓶に、大きな球の栓を持つボトルデザインは、最初にして最高の出来映えと称される。
* 商品|収蔵品のご紹介|資生堂 企業資料館より
「最初にして最高の出来映え」 良い言葉です。歴代ボトルのデザインを見ても、最初のボトルが一番素敵だと思います。
--- メリー・ポピンズと同じですね。ディズニー・ラブストーリーの原点にして頂点と言われています。
ちなみにですが、当時の価格は1箱3個入りで75銭だったそうです。銭ってどのくらいかイメージしにくいですが、お米一升が9銭だったそうなので、べらぼうに高級品だったということは分かります。
*名品コスメピックアップ。『資生堂』初の化粧品「オイデルミン」に込めた思いとは【オイデルミンの魅力②】 | PeLuLu(ペルル)より
● デザイナーは誰?
オイデルミンを作ったのは福原有信さんだということは分かります。
ネット上の記事を読んでみただけでは、オイデルミンのパッケージデザインをした方がどなたなのかという情報に辿り着けませんでした。
それか書いてあったのに見落とした可能性もあります。ご存知の方いましたらぜひ教えていただきたいです。
パッケージを決めたのも福原さんだったのでしょうかね?
オイデルミンの広告
資生堂さんは広告も洗練されていてとっても素敵ですね。見つけられた限りですが、オイデルミンに関する新聞広告やポスター等を集めました。
新聞広告
東京大学総合研究博物館画像アーカイヴス 日本の新聞広告3000 (明治24年-昭和20年)からの引用です。
画像使用についての記載等なかったのですが、もし掲載に問題がありましたら、お手数ですがご連絡ください。
● 読売新聞 1905年(明治38年)
第10000号 27面 明治38年4月8日発行 東京 日就社(読売新聞の前身)
● 大阪朝日新聞 1924年(大正13年)
大阪毎日新聞 巻号未詳 3面 大正13年12月4日発行 大阪 大阪毎日新聞社
● 大阪朝日新聞 1927年(昭和2年)
第16335号 3面 昭和2年5月16日発行 大阪 大阪朝日新聞社
ポスター
● 1925年(大正14年)
デザイナーは矢部季さん。
アール・ヌーボーにアール・デコも加わり、“資生堂調”と呼ばれるモダンで洗練されたデザインが完成していきました。
*ポスター|収蔵品のご紹介|資生堂 企業資料館より
● 1926年(大正15年)
View this post on Instagram
アカウントの中の方が「#前田貢」とタグをつけているので、前田貢さんのデザインでしょうか。
● 1926年(大正15年)
View this post on Instagram
『資生堂オイデルミン・コールドクリーム 小型ウィンドウバックポスター』前田貢さんによるデザイン。
● 1997年(平成9年)
横尾忠則さんのポスターです。
資生堂さんのデザインではありませんが、横尾さんの作品が好きなのでこちらも掲載しました。
ちなみにこちらのポスター、横尾忠則さんのオンラインショップで販売されています。
お値段は648,000円(税込)です。
そりゃ横尾さんの作品なのでお高くはないのだと思いますが、金額的に高いです。
*資生堂オイデルミン - 横尾忠則オンラインショップ
● おまけ
ポスターではなく書籍ですが、国立国会図書館デジタルコレクションから1925年(大正14年)出版の『資生堂図案集』が閲覧出来ます。16ページにオイデルミンのポスターがされています。
*『資生堂図案集』矢部季著 資生堂意匠部 大正14年
おわりのつぶやき
明治・大正・昭和・平成・令和と5つの元号を生きるオイデルミン、あといくつの元号をまたいでいくのでしょうかね?
私も最近オイデルミンを使い始めまして、なかなかいい感じですよ。おばあちゃんになっても使い続けたいと思います。
以前資生堂さんのドルックスの記事を書いた時と同じく、写真の背景が決まらない問題が勃発しました。
オイデルミンにピッタリの背景が決まらず、全部で5パターンか撮ったので全部載せます。
オイデルミンと比べると、背景がちょっとポップ過ぎますね。
割と良さそうに感じましたが、背景が赤いとせっかくの「赤い水」が目立ちません。
レトロっぽくしてみました。
ピンクの単色、なんか分かりにくいですね。
そんなこんなで、最初に使用した背景に決まりました。
オイデルミンの歴史は非常に長いので、オイデルミンについて書かれている記事が沢山ありました。
私はパッケージに主に注目したため、化粧品としてのオイデルミンについてはほぼ書いてません。
化粧の歴史について書かれている記事もありますので、興味のある方はぜひ検索してみてくださいね。
● 参考
『日本のレトロコスメ プチプラコスメからロングセラーまで』日本のレトロコスメ研究会 編 2018年3月 グラフィック社
商品情報
商品名:オイデルミン(N)
メーカー:株式会社資生堂
価格(税抜):500円
JANコード:4901872321001
原産国:日本