一昔前の学校の教室には、画鋲を抜くためのピンセルが置いてありました。
見たことがない方にとっては何に使うのかも分からないものだと思います。
シルバーとグリーンのボディの安全画鋲抜取器「ピンセル」は、小学校のクラスに一つは置いてありました。
画鋲を抜く時に使用するもので、掲示係さんが使っていたような。
当時はピンセルという商品名も知らず、当たり前に使っていました。いつの間にかこんな便利なグッズがあったことも忘れてしまっていました。
最近文房具の本に掲載されているのを見て思い出し、無性に欲しくなって探しました。
残念ながら現在は廃盤となっているようなのですが、「昭和の名文具」と称されています。
安全画鋲抜取器 ピンセル
透けている素材のグリーンが印象的な見た目のピンセルです。全長10.6cmほどの片手で持てるサイズです。
商品の箱には価格は450円と記載されていました。私はフリマサイトで購入し、300円ちょっとで購入しました。
レトロな見た目がとても可愛いですね。
何時頃まで学校で使われていたというような、具体的な年代は分かりませんでした。
2011年頃には流通在庫はあったようなので、2000年代に製造終了したのでしょうかね?
外箱
他の面には「どんなにふかくさした画鋲でも 面白いように抜ける 安全画鋲抜取器」と書かれていたり、商品の特徴が書かれています。
「ピンセルは、大小100~150個の画鋲を一挙に回収、保管しますから、画鋲の取残しや、粉失を防ぎ、経済的です。」
と書いてあるのですが、なぜか紛失が「粉失」となっています。こなしつ(笑)
誤植に気が付かなかったのか、まぁ通じるからいいやとそのままにしたのか真相は不明です。
外観
口が開く構造になっており、ここから画鋲を取り出します。クジラに見えません?
ピンセルの使い方
安心の説明書付きです。
「画鋲はもう危険な消耗品ではありません」というキャッチコピーが良いですね。
確かにどこからか飛んで画鋲を踏んでしまったり、画鋲の上に座ってしまったりという痛い思いをした方もいると思います。
説明書の文
拇指先で簡単に開閉するフタの下には、画鋲を飲み込む鮫口型の刃がついています。
画鋲を抜く時は、フタをしたまま、刃先を画鋲の下に差し込み、テコの用に動かして下さい。
抜かれてた画鋲は、Pincel・・・・・・・・・・・・ の文字盤を透かして見えますが、決して外へ飛び出しません。
拇指は「ぼし」と読み、親指のことだそうで。知りませんでした。
画鋲に引っ掛けて抜くだけなので簡単です。シンプルな構造なので小学校にあったのもうなずけます。
ピンセルのメーカー
外箱にも本体にもなぜかメーカーが書かれていません。Googleで調べてみましたが、どうにも分かりませんでした。
書かれているのは桜の中に「FUSO」というマークが書かれているだけです。
あとヒントになりそうなのが「PAT.138953」です。
PATはPatent「特許」の略なので、ナンバーで調べてみたところ、意匠登録されているのが分かりました。
出願は昭和32年3月16日、登録は昭和33年6月30日でした。
--- 昭和32年は1957年です。
意匠権者は高野篤さん・後藤久男・山川勇治さんの3名です。企業名などは掲載されていませんでした。
住所はお二方が吉原市、お一人が名古屋市となっていました。吉原市は静岡県だそうです。
出願が1957年(昭和32年)ということは、この時にはピンセルは存在していたということが分かります。
メーカー名はやっぱり分かりませんでした。
「昭和の名文具」と称されていて、歴史に残る文房具なんだから、ちゃんとメーカー名くらい書いておいてくれ、と思います。
ピンセルの買えるところ
実店舗
レトロな文房具を取り扱っている文具店にある可能性があります。また長く営業しているような、町の文房具屋さんには残っているかもしれません。
インターネット
オークション・フリマサイトで販売しています。安く販売されている場合もあれば、割高な場合もあります。
おわりのつぶやき
ピンセルはもう廃盤になっているので、レトロ文具好きにとっては貴重な商品です。
私がピンセルを探し始めた時にはフリマサイトで1000円を超える価格がつけられていました。
さすがにちょっと高いなーと思い、しばらく待っていたらお買い得なピンセルが出品されたので、しばし待つのもありですね。